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詳細記載 (5):1号機のベント(その2、ベントラインの超高線量汚染)

(1号機原子炉建屋1階の高線量)
2011年5月13日に行われたロボットによる調査により、1号機原子炉建屋の1階南東部で2000mSv/h(2Sv/h)が計測された。6月4日のロボット調査では最大4000 mSv/h(4Sv/h)が計測された。その地点には地下1階の圧力抑制室からの配管が床を貫通しており、管と床の隙間から湯気が立ち上っているのがビデオ撮影された。
報道によると、東電は「圧力抑制室内の水の温度は約50度あり、原子炉から漏れた高濃度の放射能汚染水がたまっている。この汚染水から湯気が発生して、床と配管の接合部の劣化部分から立ち上っている」と説明し、湯気に高い放射線量が含まれているとの見方を示した。
500_110604_u1F1_yuge.jpg

その後、10月13日に同じ地点の調査が行なわれた。この時には最大4700mSv/h(4.7Sv/h)が計測された。地下の汚染水の水温は前より下がっており、湯気は認められなかった。高線量の原因が湯気ではないことが明らかとなった。
501_111014_u1F1_vhrd.jpg

次にこの地点が調べられたのは2012年7月4日。最大5150mSv/h(5.15Sv/h)が計測された。毎回値が上がっているのは調査の精度が上がったためで、実際の汚染が進行したわけではないと思われる。
502_120705_u1F1.jpg
502a_120705a_u1F1.jpg

2013年12月22日~24日にガンマ・カメラによる調査が行なわれた。ガンマ・カメラとは、指向性のあるセンサーを使って線源の場所を特定するものである。その結果、床を貫通している配管が線源であることが分かった。また、この配管は「PCVベント時に蒸気が通過した不活性ガス系配管」だということが公表された。
503_140117_p3.jpg
これらの画像は、通常の画像にガンマ・カメラによる粗いモザイク状の測定結果が重ねてある。測定カウントが高いほど赤い色調で表示されている。
次の映像は上の図の①である。床から縦に立っている管が上で90度曲がって水平になっている様子が分かる。曲がっている部分が最も赤く見えるが、画面中央の縦の部分の手前に何かのボンベ(窒素ガス?)が置いてあり、通常画像のライトのせいもあって、この画像から正確な比較はできない。手前のボンベの部分も薄い赤色調が見えるのでガンマ線がボンベを透過していることが分かる。
504_140117_02_u1-1F-S.jpg

次は②の画像。斜め上を見上げたもので、天井の下で配管が水平になっている部分を写している。この部分も線源になっており、ここから放射されるガンマ線の影響で、その下の線量が高くなっている。
505_140117_03_u1-1F-S.jpg

次の2つの画像、③と④は配管が2階へ向かって立ち上がる部分が画面の最上部に写っている。そこに高いカウントを示す赤い色調が認められる。
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次は配管貫通部の隣にある「機器ファンネル」の側からの画像である。
508_140117_p4.jpg
配管の手前にロッカーのように見える何かの設備があり、これを配管からのガンマ線が透過している様子が分かる。
機器ファンネルは左側の背の低いもので、これが何のためのものなのか分からないが、その付近には高いカウントは見られない。東電の説明では、機器ファンネルの床下に線源があるとしているが、それなら機器ファンネルの下側にカウントが出るはずだが、そういったものは認められない。機器ファンネルの上の線量が高いのは横の配管の影響だと思われる。
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さて、問題の「不活性ガス系配管」なるものは、字面だけでは何のことやらさっぱり分からない。不活性ガスとは窒素のことで、窒素を格納容器に封入するための配管か、などと想像していたが、違っていた。次の図面を見るとベントラインそのものなのである。
この図は2002年に東電が保安院に提出した「福島第一原子力発電所のアクシデントマネジメント整備報告書(平成14年5月)」の図である。字が読み取りにくいので横に青色で文字を添えた。なお、蝶ネクタイのような弁の記号の上や横に小さい字でAOまたはMOと書かれているはずであるが、判読が難しかった。
510_tepco-H14-AM.jpg
図の中で雲のような輪郭で囲った部分が、この時新たに付け加えられた配管である。ベントラインは、既存の非常用ガス処理系をバイパスして付けられた。同じラインなのに、なぜかラプチャーディスクを境にして系統の名前が違う。何か変なのだ。
ラプチャーディスクから先の部分は非常用ガス処理系とされている。確かに既存の非常用ガス処理系に接続するのだが、系統としては違うはずのものである。また、謎の名称である「不活性ガス」とは、どうやらベント排気に含まれるであろう希ガス(キセノンとクリプトン)のことを指しているように思われる。とにかく分かりにくくなっている。

(排気筒の根元付近の超高線量)
2011年7月31日、1・2号機排気筒の根元付近でガンマ・カメラにより2つの強力な線源が発見された。翌8月1日の測定により排気筒に接続する非常用ガス処理系配管で最も線量が高かったが、測定器の限界である10000mSv/h(10Sv/h)を振り切ってしまい、どこまで高い線量なのか分からない状態であった。
ガンマ・カメラの画像は非常用ガス処理系配管とは排気筒の反対側(南西側)から撮影されているが、間にある鉄管や鉄柱を透過して明瞭な異常が感知されている。
511_20110731_110802_2_u1u2_haikitou.jpg
これが公表された時点で、おそらく専門家なら、ベントラインが異常に汚染されていて、ベント排気が想定外に大量の放射能を含んでいたことに気付くはずであるが、マスコミや一般人には意味がよく分からなかったと思われる。
この地点の追跡調査が2013年11月21~22日に行なわれた。8点の測定値から計算によって2つの線源の線量が推定された。
512_131206_2_SGTS-stack.jpg
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排気筒への接続部分に近い屈曲部(線源①)で25Sv/h、水平部分(線源②)で15Sv/hが推定された。
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上の写真は非常用ガス処理系配管の形がよく分かる。2号機配管の接続状態も見える。Y字のようになっているが、よく見ると1号機の配管が垂直になっている所に斜め横から2号機配管がつながっている。これは先に建設された1号機に後から作られた2号機配管を接続したためかと思われる。
この配管を通って2号機側へ逆流したのだが、これについては次回に記載する。

(放射性スケール)
前回の最後に述べたように、最も高い線量率を記録したにもかかわらず、3月12日の1号機ベントによって放出された放射能に含まれるセシウムは少なかった。セシウムと同様に粒子状の放射能となるテルルはかなり含まれていたので、なぜセシウムが少ないか謎だった。
だが、よく考えると、汚染されたベントラインに付着しているのはセシウムであり、排気筒の外に出たものは少なかったと思われる。つまり、圧力抑制プールから放出された排気にはセシウムも大量に含まれていたが、大部分は途中のベントラインの内壁に付着して、排気筒から外気に放出されたものは少なくなったと思われる。
上記のようにベントライン全体が異常に汚染されている。管の外側は放熱するから、管の中を通る水蒸気は冷やされて内壁に水が付着し、そこに放射能が吸着されたと思われる。水酸化セシウムは水に対する親和力が強いので、セシウムが選択的に管壁に付着したのではないかと考えられる。
特に非常用ガス処理系配管が排気筒に接続する部分付近で超高線量が認められている。ここは、管の口径が変化して急減圧となる部分であり、減圧に伴う温度低下により最も大量の水蒸気が水に凝縮された場所だと思われる。
また、管の内壁に付着したものが管内の風圧によって吹き寄せられ、管を詰まらせたことも考えられる。
温泉や地熱発電のボーリング管の内部に湯垢が付着して温泉や蒸気が止まってしまうことがあるようだが、そのような湯垢はスケールと呼ばれる。1号機の場合、放射性スケールないしセシウム・スケールと呼ぶのが適当だと思われる。圧力抑制室の圧力データによると、建屋の爆発より前の15時10分頃に圧力の低下が止まっている。この時に弁を閉じてベント排気を止めたという記録は無い。スケールにより管が閉塞したと考えられる。
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以上
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