記事一覧

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

詳細記載 (13): 3号機爆発、直後の蒸気噴出

(爆発で放出された放射能の量が実際より過大に感じられている件)
映像による印象から、あたかも爆発と同時に大量の放射能が撒き散らされたと感じるのが自然である。しかし、これまで考察してきたように、1号機から大量の放射能が放出されたのは爆発前に実施されたベントであり、爆発時に放出された放射能は比較的少ない。
3号機については、逆に爆発より後の放出量がずっと多い。
3号機の爆発当時は西風で海側に噴煙が流されたため、放出された放射能の影響は、近隣のモニタリング・ポストでは検出されていないとこれまで考えていた。しかし、データを検討し直した結果、夫沢局の10分平均データに爆風の影響が記録されていることが分かった。
1301_ottozawa_312-315_10min.jpg
空間線量率のデータは、20秒データと10分データの2種類があり、20秒データは3号機爆発の前に記録が途絶えていた。このため10分データの記録も無いものと錯覚していたが、10分データの方には記録が残っていたことにやっと気付いた。
夫沢局は3号機の南南西1.4kmに位置し、爆発時、風下ではなかったが、爆風は四方に広がり、夫沢局にまで達したと考えられる。グラフから明らかなように、3号機爆発に伴う線量上昇は軽微なものであった。
爆発前後の部分だけ拡大したのが次のグラフである。
1302_ottozawa_u3-evpls.jpg
右に緩く傾斜しているのは1号機の残留放射能(特にヨウ素132)の減衰による。爆発前の10:50と爆発後の11:10を比べると26.6nGy/h上昇しており、残留放射能となる粒子状の放射能が爆風の中に僅かに含まれていたことを示す。

(3号機建屋爆発直後の急減圧)
3号機建屋爆発直後に格納容器の圧力が低下した。爆発後の約20分間にドライウェルの圧力は0.16MPa低下した。また、その間にドライウェルと圧力抑制室の圧力が逆転している。従って、明らかにドライウェル側から蒸気が噴出したと考えられる。
爆発によって急激な膨張が起こり、爆心である格納容器の蓋の外側が真空に近い状態となったためと考えられる。このため格納容器内部と外との圧力差が瞬間的に上昇し、蓋の密閉性がさらに損なわれて蒸気の噴出が始まったと思われる。
1303_pcv_P_314-exp.jpg

(2条の白煙)
爆発の3分後に撮影された衛星画像には、爆発による噴煙とは別に、破壊された建屋から2条の白い蒸気が立ち昇っているのが見える。これが爆発直後に噴出した蒸気そのものである。この蒸気に含まれた放射能については、風で海側に流されたために測定記録が無い。
1304_314-1104_digitalglobe.jpg
見やすくするために画像の方向をそろえた。上と同じ画像を左が北になるように回転させたものが次である。
1305_digitalglobe_3-14.jpg
その後の映像でも、風の弱い時には2筋の蒸気が認められる。次は3月17日の衛星画像。
1306_digitalglobe_3-17.jpg
次は3月20日に撮影された赤外線サーモグラフィーである。「原子炉直上部128℃」とされているのは正確にはシールドプラグとDSPの境、「使用済燃料プール62℃」は正確にはプールとシールドプラグの境である。使用済燃料プールは西半分の水面が見えている状態であり、温度が高いが、この2点ほど高温ではないのであろう。
1307_20110320_hand111130_09_p29_thermo.jpg
この画像からも明らかなように、最も温度が高く蒸気の噴出が激しいのは、シールトプラグとDSPの境目の北西端である。前回、ビデオ画像に格納容器の黄色い蓋が写っているという件で、原子炉ウェルの壁が欠損していると特定した部分と、この蒸気噴出箇所は近い位置関係にある。
次は4月15日に真上から撮影されたもので、建屋の南半分が写っている。白煙というか白い蒸気が2つ、同じ場所に認められる。
1308_20110415_1f_3_4_thawk.jpg
このように、2条の蒸気の噴出口は、一つはシールドプラグとDSプールの間にあるDSPプラグの西端部、もう一つは格納容器直上のシールドプラグと使用済み燃料プールの間のゲート付近である。

(ガレキ撤去後の状況)
2013年10月にオペフロの大型ガレキの撤去が終わり、ようやくシールドプラグの状態が観察できるようになった。コンクリート製のシールドプラグは爆発の影響で変形している。この時に隙間ができたと思われる。
中央部では300mmの段差ができていた。中央部が凹んでいたのである。はめ込み式のコンクリートの板であるが、普通のコンクリート板ではなく、詳細は分からないがかなりの強度があるのだろう。変形だけで破壊は免れた。
1309_20140214_sealedplug_2.jpg
1310_20140131_q_140214_07_sealdplug.jpg

(隙間から湯気)
時間は前後するが、事故から2年以上経過した2013/7/18、問題のシールドプラグとDSPの間の隙間から湯気が立ち昇っているのが認められた。
1311_130718_03_yuge.jpg
次は湯気が出ている部分の拡大画像である。湯気の出口の右横には、天井クレーンガーターの一部が写っている。爆発で真下に落下したものである。本来は緑色に塗装されていたものだが、灰色に煤けているのが気になる。
1312_130718_01j_u3-yuge_157.jpg
その後2013/7/24に行なわれた赤外線サーモグラフィーでも、温度異常として確認された。下図の②が問題の湯気の隙間であり、⑤がシールドプラグと使用済燃料プールの間の部分である。
1313_20131031_u3-opfl-thermo-cam_z.jpg
詳しく見ると、問題の噴出口はシールドプラグの横にあるDSPプラグの端の隙間であることが分かる。
1314_20131031_u3-opfl-sealed-plug.jpg
次は東電による湯気発生の説明図である。格納容器(PCV)からのリークを認めている点にも注目される。
1315_20131031_u3-sealedplug-section.jpg
次はガレキが撤去された後のオペフロ全体の映像である。改めて噴出した位置をこの画像に記入した。繰り返しになるが、前回、4階で格納容器の黄色い蓋が見えている問題で、原子炉ウェルの壁の欠損について検討したが、DSPプラグの隙間の位置は、この壁の欠損部分に近接しており、関連性が考えられる。
1316_20140131_140214_04_opfl.jpg

(爆発直後からの蒸気噴出のまとめ)
3号機爆発直後からの蒸気の噴出についてまとめると次のようになる。
格納容器の蓋からの漏洩は13日夜に始まっていたが、爆発によって蓋がさらに緩んで、急激に蒸気が放出された。この放射能は海側に流されたため、陸上の観測点で計測されることはなかった。
爆発が激しかったのは壁の欠損部付近であるが、そこに近い部分の蓋の緩みが最も大きく、そこから蒸気が噴出したと思われる。
格納容器の蓋から出た蒸気は、その上のシールドプラグやDSPプラグの隙間から外に噴出した。温度が高いため上側に吹き上げ、横の壁穴からは冷たい外気が流れ込んだと思われる。
それらの様子をまとめると次のような断面図となる。シールドプラグの裏面が最も酷く汚染されたと考えられる。
1317_140214_sealedplug_m.jpg

以上
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

足田考人

Author:足田考人
FC2ブログへようこそ!

最新コメント

カテゴリ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。